歴史小説とか読んでると、「唐土」って出てくるけど、
どう読むんだろう?
それにどういう意味があるのか詳しく知りたいなあ…
歴史小説などでは、外国の国の名前が漢字で書かれることがたびたびあります。
今ではほとんど使われることのない呼び名ということもあり、
漢字を見てもどう読むのかが分からないということも多くあります。
その中でも「唐土」は唐という国の名前が入っていますが、
その国だけをさしての呼び方なのか、他にも意味があるのか、見ただけではわかりません。
またその漢字の由来の意味なども、なかなか知る機会がないのではないでしょうか。
様々な読み方をされる「唐土」について、もっとよく知るための情報をまとめました。
目次
「唐土」と書いた時の読み方は?(とうど、もろこし。インターネット辞書を参考に)
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「唐土」と書いた時の読み方には、どのようなものがあるのでしょうか。
「唐土」にはとうど、もろこしの二つの読み方があります。
江戸時代以前までは、遣唐使を通じ長く交渉をもっていた唐の国の名前で中国のことを呼んでいました。
また外国を意味する言葉として「唐」を「から」と呼んでいたことから、
区別するために中国のことを「もろこし」と呼んでいたともされます。
そのため日本に渡航する中国人は唐人と呼ばれていましたが、
台湾など東南アジアの華人たちも自国のことを「唐土」と呼ぶなど、はっきりとした区別はなかったとも考えられます。
江戸時代に西洋諸国の情勢が伝わり、このときに西洋諸国が唐の国のことをチーナ、またシーナと呼んでいるということも合わせて伝わってきました。
このことから、日本の中国の呼び方は唐土から支那へと変わり、
現在は中華人民共和国の通称として中国という名前が使われています。
では「唐土」の指す言葉の意味について、詳しく見ていきましょう。
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唐土とは一体何を指す単語なの?(中国のこと。トウモロコシではないこと等も解説)
唐土とは何を指す単語なのでしょうか?
唐土には二つの意味があります。
1.日本の側から中国を指して呼んだ名前。
2.中国から伝来したものに対してつけた言葉。
中国にはいくつかの土地があり、南方に越という土地がありました。
その越の国や、越の国から来たもののことを「諸越」と呼んでいましたが、
これが後に中国全体から伝わったものを指す言葉となりました。
この諸越の訓読みと遣唐使の唐が混在し、「唐土」との呼称が生まれたとする説もあります。
また外国全般を指した言葉に「唐」があり、やがて諸越の意味が失われた代わりに唐土が残りました。
この「唐」は「唐物」(からもの)と同じように、中国や舶来のものに対して使う言葉として今も残っています。
たとえば「もろこし」という言葉は、とうもろこしや秋田県地方の銘菓にも使われています。
どちらも同じ呼び方ではありますが、「唐土」本来の意味とは別物です。
ではとうもろこしの「もろこし」はこの「唐土」とは関わりはないのでしょうか。
詳しく見ていきましょう。
では「とうもろこし」の名前の由来は?
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とうもろこしの名前の由来は、唐土ではないのでしょうか?
とうもろこしは16世紀にポルトガル人から日本に伝わった穀物です。
これより前に中国から伝わった「もろこし」という植物によく似ていたことから、
舶来や外国のものに対してつける「唐」がもろこしにつけられ、とうもろこしと呼ばれるようになりました。
しかしもろこしは漢字では蜀黍や唐黍とされていたため、これに唐をつけると中国から伝わったことを意味する「唐」が重なってしまいます。
そのため唐ではなくとうもろこしの別名である「玉黍」(たまきび)から玉を用いて玉蜀黍といった呼び方がされました。
また同じく舶来の意味を持つ南蛮という言葉を用いて、南蛮黍(なんばんきび)とも呼ばれるようになったのです。
そのほか高麗黍(こうらいきび)といった言葉も残っている地域があります。
このことから、とうもろこしは唐という外国を示す語が用いられた呼び方で、
唐土の持つ意味と同じといえます。
まとめ
いかがだったでしょうか?
かつての中国はいくつもの国が合わさってできた土地であったため、そこから伝わるものはその国の名前を冠した呼び方をされていました。
そのためその国がなくなっても名称はそのまま残ったのです。
たとえば九州の薩摩の名産であるさつまいもですが、これは薩摩から日本へ広がったためさつまいもと呼ばれています。
しかし薩摩では外国から伝わってきた作物なので、「唐芋」と呼ばれているのです。
そう考えると、私たちの生活になじみ深い食べ物などの名前の由来が興味深いものに思えてきますねヽ(=´▽`=)ノ