蓄熱暖房機ってどんな暖房なの?
夜間電力を使うんだから、電気代は安いんだよね?
使い方次第でもっと節約できるって本当?
Original update by : 写真AC
蓄熱暖房機ってどんな暖房かご存知ですか?
・オール電化とセットで耳にしたことがある
・深夜の電力を利用するので電気代が節約できるらしい
など、聞いたことはあるけど実際にどんなものか良く解らない、という方も多いと思います。
蓄熱暖房機っていったいどんな仕組みで家全体を暖めるのでしょうか。
気になる本体価格や設置料金は?
そして毎月の電気代は本当に安くなるのでしょうか?
今回は、蓄熱暖房機への疑問についてお答えします。
導入を検討中の方、必見ですよ!
目次
蓄熱暖房機とはどんな暖房?
まずは蓄熱暖房機の仕組みをご説明します。
蓄熱暖房機は、夜の間に熱を「蓄熱レンガ」に溜めておいて、日中に放熱することで部屋全体を暖める暖房です。
深夜の電気代の安い時間帯に翌日分の熱を溜めるので、電気代が安く済むと言われています。
メリットとして、
・家全体が暖かい
・耐久性がある
・24時間暖かい
・空気がキレイ
などが挙げられます。
エアコンやファンヒーターは温風を出して部屋を暖めますが、蓄熱暖房は輻射(ふくしゃ)熱によって陽だまりのような優しい暖かさを得られるのが特徴です。
ON/OFF操作不要で24時間、家全体が暖かいので、お風呂場やトイレとの寒暖差も気にならなくなります。
耐久性も強く、1度設置すれば10年はメンテナンス不要といわれる物もあります。
デメリットとしては、
・操作が面倒
・急な温度変化は見込めない
・サイズが大きい
・夏は使えない
などが挙げられます。
操作が面倒とは「蓄熱量」の設定のことです。
蓄熱レンガにどれくらい蓄熱するか、という設定を間違えると、急に冷え込んだ日には蓄熱量が足りなくなって寒い思いをしたり、春先には暖房を止めたくても蓄熱した分を放熱するまで止められません。
天気予報をチェックして翌日どのくらい蓄熱量が必要か、きちんと設定する必要があります。
また、130kg~300kg!と非常に重たいので動かすことは出来ませんし、床補強のための工事が必要な場合もあります。
暖房器具としてしか利用できないため、夏場には邪魔に思うかも知れません。
家にいる時間が長い方や、エアコンの風が苦手、灯油ファンヒーターは補給が面倒だし空気が汚れる、という方には非常に魅力的ですが、蓄熱量の設定には気を配らなければならないですし、ある程度広い家じゃないと設置場所に困る暖房機具とも言えますね。
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蓄熱暖房機自体の値段はどれくらい?
家全体優しく暖めてくれる蓄熱暖房機ですが、電気屋さんでは見かけませんよね。
ここでは、次の2つについてご説明します。
・蓄熱暖房機はどこで購入する?
・本体価格や設置費用などはどれくらい?
・蓄熱暖房機はどこで購入する?
蓄熱暖房機は購入してコンセントを入れればすぐに使えるという暖房機具ではありません。
設置するには本体のほかに電気工事などの設置工事が必要になります。
ですので、工務店やリフォーム会社に発注するのが一般的です。
電力会社に問い合わせれば、蓄熱暖房機を扱っている工務店などを紹介してくれることもあります。
・本体価格や設置費用などはどれくらい?
本体価格は、17万円~38万円程。大きさや付いている機能などで変わってきます。
電気工事や設置料金は、
□新築なのか既存の建物に設置するのか
□どこに設置するのか
などで随分と価格に差が出てきます。
新築の場合は家を建てている間に、蓄熱暖房機を設置する場所に配線をしてもらったり、重さに耐えられるような床補強などもしてもらえますから、工事費も割安になります。
しかし既存の建物では、床下に入っての作業や配電盤の交換など、大がかりな工事になってしまいます。
また2階に設置したい、等の場合はさらに床補強の費用がかさみます。
工事費はその建物ごとに違ってきますが、本体価格込みで、30万円~50万円が相場なようです。
必ず何件かの工務店から見積もりを取って比較してみましょう。
蓄熱暖房機の電気代はどれくらいかかるの?

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さて、一番気になる電気料金ですが、エアコンを使うよりずっとお得になるのでしょうか。
深夜の割安な時間帯の電気を最大限利用するのだから、日中エアコンをガンガン使う時の半額くらいになるのでは?と期待していた方もいると思います。
残念ですが、蓄熱暖房機の電気代がエアコンより安くなるということはほぼありません。
蓄熱暖房機の電気代は、済んでいる地域の外気温や室内の広さ、家の気密性・断熱性などで差が出てきます。
ですから一律にいくら、とは言えませんが、ネット上に挙げられていた利用者の電気代を調べてみると、
・導入した年の1月の電気料金が3万円超えてビックリしました。
・12月にフルに利用して2万6千円でした。
・氷点下9度くらいの場所で、20畳のリビングに設置してます。夏場より1万円は電気代が高いです。
など、電気代が決して安くないという事が分かります。
蓄熱暖房機はもともと物凄く電気を使う暖房機具だという事を初めに理解していた方が良いようです。
その上で、使い方次第で電気料金を節約するワザがありますので、次の項でご紹介していきます。
蓄熱暖房機の上手な使い方とは?
蓄熱暖房機は設定さえしてしまえば後はほったらかしでOKです。
但し電気代を節約するには、その「設定」の仕方が非常に大切です。一つ一つ見ていきましょう。
1. 深夜電力の時間帯を設定
2. 蓄熱させる割合を設定
3. 温度設定
4. マイコン設定
1. 深夜電力の時間帯を設定
この時間設定がズレていると、割高な料金の時間帯に蓄電されることになります。
1分のズレも許さないよう、きちんと設定する必要があります。
2. 蓄熱させる割合を設定
蓄熱量が足りなくて電気代が高い時間帯に「追いだき」することになってしまったら大赤字です。
逆に暖かい日に蓄熱量が多すぎて室内が蒸し風呂状態になってしまうのも非常にもったいないことです。
翌日の天気や気温を常に気にかけて、適切な蓄熱量を見極め微調整する必要が出てきます。
最初のうちは、蓄熱暖房機の説明書に記載されている目安の蓄熱量を参考にし、徐々にご家庭に合った蓄熱量を探していきます。
シーズンセンサーが付いている蓄熱暖房機もあります。
3. 温度設定
室内温度をどのくらいに設定するかで蓄熱量も変わってきます。
室内でも半袖で過ごしたい、という室内温度だと蓄熱量もその分多くなり、電気代も掛かります。
肌寒かったらカーディガンを羽織るくらいの室内温度に設定すれば、その分電気代も節約できます。
4. マイコン設定
マイコン機能が付いているタイプの蓄熱暖房機なら、前日の残熱量を自動計算して通電時間を制御してくれます。
機種によっては電力会社のマイコン割引制度が適用され、電気代をさらに節約出来ます。
ここでもう一つポイントがあります。
これらの設定以外に大切なのが、深夜料金が一番割安な電力会社と契約することです。
電力自由化で電力会社以外の事業者からも電気を購入することが出来るようになりました。
比較サイトなどを利用して、一度電気料金のシミュレーションをして、一番お得になる電力会社を選びましょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
陽だまりのような優しい暖かさが魅力の蓄熱暖房機。
導入する前には次のポイントを確認しましょう。
・本体価格のほかに工事費が掛かる
・非常に重たいので、1度設置したら動かせない
・深夜の割安な電気を利用するが、電気料金自体はそれ程安くない
・設定をこまめにする必要がある
これらの点に納得できれば、空気が綺麗で家全体が暖まる蓄熱暖房機は、非常に優れた暖房機具です。
導入前には複数の工務店などから見積もりを取ることもお忘れなく。