サラリーマンなら退職金は貰えるよね?
退職金にも相場ってあるの?
将来の退職金の金額を知りたい!

Original update by : 写真AC
突然ですが質問です。
・今月末で会社を辞めることになったとして、あなたは退職金を貰う事は出来ますか?
・それはいくらくらいですか?
若い世代で、この2つの質問に即答出来る方は殆どいないのではないでしょうか。
特に2番目の質問は、定年間近になって慌てて調べる方もいらっしゃるぐらいです。
しかし、転職が当たり前になった今では、若い世代にも退職金についての知識は必要です。
大体の相場や計算方法を知っておけば、将来設計にも役に立ちます。
今回は、退職金の仕組みや学歴や職種ごとの相場、そして一般的な計算方法などを解説していきます。
将来に漠然とした不安を持っている方は、是非、参考にして下さい。
目次
まずは退職金のしくみを知ろう!
まずは、退職金の仕組みについて解説していきます。
あなたの場合はどうなのか、しっかり確認してください。
ポイントは次の3つです。
1. 貰える会社と貰えない会社がある
2. 貰える人と貰えない人がいる
3. 貰い方にも種類がある
1. 貰える会社と貰えない会社がある
自営業なら退職金が無くても仕方ないですが、サラリーマンなら全員貰えると思ったら大間違いです。
退職金制度は労働保険や社会保険のような加入義務はありません。
退職金制度を設置するかしないかは、全て会社次第ということです。
実際に厚生労働省の平成25年度の統計を調べてみると、退職金制度の採用率は75.5%。
1000人以上の大企業では93.6%が採用していますが、企業規模が小さくなるほど退職金制度を採用している会社は少なくなります。
退職金制度自体が無い会社では、今後どれだけ長く働いても退職金は貰えないのです。
但し、会社側が一度でも退職金のルールを定めたり、制度は無いけれど慣行的に退職金のようなものを支払っていたら、それ以降は退職金の支払いは義務となります。
自分の会社に退職金制度があるかどうかは、就業規則に記載してあったり、別途、退職金規定を設けていたりしますので、すぐに分かるはずです。
よく分からない場合は総務に問い合わせしてみましょう。
2. 貰える人と貰えない人がいる
自分の会社に退職金制度があって一安心の方も、注意が必要です。
退職金規定をよく読んでください。
同じ会社に勤めていても、退職金を貰える人と貰えない人がいます。
退職金の対象者となるのは一般的に正社員のみです。
パート・アルバイト・契約社員・派遣社員は、対象外の企業が多いのです。
また、「勤続年数○年以上の者」と明記されていることもあります。
自分が対象者になるのかどうか、確認してみましょう。
3. 貰い方にも種類がある
大きく分けて次の2種類あります。
・退職一時金制度…退職時に一括で現金で受け取る
・退職年金制度…退職後、年金として受け取る
両方の制度をミックスしているケースもあります。
一時金で受け取るよりも年金で受け取る方が、総額が増えるのが一般的です。
自分の会社がどちらの制度を採用しているのか、自分でどちらかを選ぶことが出来るのか、なども併せて確認しておきましょう。
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退職金の額を左右するポイントってどこ?
退職金制度のある会社でも、退職金の金額が全員一律同じ、ということは無いでしょう。
金額は、さまざまな要因で増えたり減ったりします。
ポイントは次の4つになります。
1. 勤続年数
2. 基本給の金額
3. 退職事由
4. 会社の規模や業界の水準
1. 勤続年数
勤続年数が長くなればなるほど、退職金の額は多くなるのが一般的です。
2. 基本給の金額
退職金を計算する際に、基本給を基にすることが多いです。
年功序列で一律に基本給が上がるような会社は少なくなりました。仕事への貢献度や評価の高い方の方が基本給が高くなり、よって退職金も高くなります。
3. 退職事由
会社都合と自己都合で同じ金額の退職金を出すような会社は殆どありません。
自己都合が一番低い水準になるのが一般的です。
またリストラなどで早期退職を募る場合では、早期優遇制度として、会社都合の金額を基に割増する場合が多いです。
4. 会社の規模や業界の水準
やはり大企業の方が中小企業よりも高くなる傾向があります。
また初任給と同様、同業種で水準を揃えることが多いので、退職金の高い業種、低い業種が存在します。
1番多いのが、海運・倉庫業と言われています。
年功序列賃金、伝統的産業の方が高くなる傾向があるようです。
退職金の相場って大体どれくらいになるの?

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退職金の相場が分かれば、自分が将来いくらくらい貰えるのか想像がつきますよね。
様々な角度から検証していきましょう。
○ 学歴別・職種別の平均
平成24年1年間における勤続年数35年以上の定年退職者の平均金額は、以下の通りです。
*は平成20年の金額です。(厚生労働省「平成25年就労条件状況調査」より)
・大学卒(管理・事務・技術職):2156万円(*2335万円)
・高校卒(管理・事務・技術職):1965万円(*2001万円)
・高校卒(現業職):1484万円(*1693万円)
注目すべきは、退職金はこの4年だけをみても、かなり減額されているということです。
この傾向は今後も続くとみられていますので、将来自分がもらえる金額は控えめに計算した方が良さそうです。
○ 退職給付制度による違い(学歴別)
退職一時金で貰う時と退職年金で貰う時ではどのくらい差がでるのでしょうか。
□大学卒(管理・事務・技術職)
・退職一時金制度のみ:1567万円
・退職年金制度のみ:2110万円
・両制度併用:2562万円
□高校卒(管理・事務・技術職)
・退職一時金制度のみ:1470万円
・退職年金制度のみ:1822万円
・両制度併用:2272万円
どうやら退職金は一時金と年金の併用で受け取るのが賢い方法のようです。
○ 中小企業の場合は?
東京都産業労働局労働相談情報センターの「中小企業の賃金・退職金事情 平成26年版」から、事業規模別に60歳の定年退職の退職金を見ていきます。
□従業員数 10~49人
・大学卒:1281.7万円
・高専・短大卒:1206.3万円
・高校卒:1176.8万円
□従業員数 50~99人
・大学卒:1497.0万円
・高専・短大卒:1233.9万円
・高校卒:1338.2万円
□従業員数 100~299人
・大学卒:1718.6万円
・高専・短大卒:1484.3万円
・高校卒:1365.0万円
企業規模に比例して金額が大きくなっていきます。
○ 自己都合の場合は?
勤続年数3年以上から支給する会社が多いようです。
金額は会社によってかなりの差が出るのですが、ここでは、大企業から中小企業までの平均的な相場として見て下さい。
・3年… 198,000
・5年… 390,000
・10年… 1,080,000
・15年… 2,124,000
・20年… 3,609,000
・25年… 5,455,000
・30年… 7,506,000
・35年… 9,273,000
会社都合や定年退職と比べると金額が低いことが分かります。
一般的な退職金の計算方法とは?
自分が将来もらえる退職金と相場との差も知っておきたいですよね。
以下の計算式は、一般的な退職金の計算方法と言われています。
退職金 = 退職時の基本給 x 勤続年数 x 給付率
・基本給には残業手当や通勤手当などの手当は含まれません
・給付率は会社都合で70%、自己都合で60%程度だと言われています
この計算式に当てはめてみると、
・退職時の基本給…40万円、勤続年数40年、給付率70%の場合、
40x40x70%=1120万円
ということになります。
退職時の基本給がいくらなのかで、同僚とも差が出てきそうですね。
会社によって給付率に差があります。会社規模が小さいほど給付率は小さくなるようです。
また、独自の計算方法で算出する場合もありますので、退職金規定をよくご覧になって確認してください。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
定年間近に退職金が想像していたよりも少ないことが判明したら、老後の生活設計は大きく狂ってしまいます。
将来どのくらいの退職金がもらえるのか、若いうちから把握しておくことはとても大切な事でしょう。
まずは、就業規則や退職金規定を調べてみて
・自分は退職金を貰えるのか
・どのような形で貰えるのか
・どのような計算式なのか
以上の3点を確認してください。
その上で、実際にどのくらいになるのか試算してみましょう。
たとえ想像していたものより低かったとしても、今から対策を立てれば老後までに間に合いますよ。