太宰治の代表作で有名な「人間失格」は、
重い内容ながらも読書感想文やコンクールなどで、
中高生からたびたび選ばれている作品です。
なんだか暗い内容の本でつまらなさそうだし
あんまり興味ないなあと思う方も多いかもしれませんが、
そんなことはありません!
確かに内容は暗く重い印象ですが、
じっくり読んでみるととてもいいお話なんです!
今回は太宰治が書いた「人間失格」の魅力をお伝えします(´∀`)
人間失格あらすじは?
主人公、大庭葉蔵は、
幼い頃から自分を道化にして、
自らの気持ちとは裏腹に周囲を欺きながら生きてきました。
しかし、ある日クラスメイトの竹一に道化であることを見破られ、
女にモテることや、画家になる事などを予言されます。
その後東京に上京した葉蔵は、
学業そっちのけでタバコと酒に溺れ、
やがて竹一の予言通り女を糧にして生きていくことになり、
徐々に転落の道へと向かっていくのです。
自殺未遂や心中を図りながらも死にきれなかった葉蔵は
モルヒネ中毒に陥り、
最終的には脳病院を経て実家へ引き取られます。
故郷へ戻った葉蔵は廃人同然になり、
不幸も幸福もないと悟りながら小説は終わります。
「人間失格」というタイトルは、
主人公が脳病院で世間から狂人とレッテルを貼られた時に、
自分は人間を失格したのだ
という心象からつけられたものだと言えます。
写真素材:足成
人間失格のみどころはココ!
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この物語は自意識過剰で純粋すぎる主人公が
自分の人生から逃げ、どんどん追い詰められて疲弊し、
最終的には廃人になってしまうというなんとも欝な小説ですが、
読み進めてるうちに、
「じぶんの主人公に似た部分があるな」
と感じてくるはずです。
とくに他人の顔色をうかがい、
自分の意見を言えずにストレスが溜まり自暴自棄になるあたりは
主人公に自己投影してしまいかねないシチュエーションです。
この作品のみどころはズバリ、
「葉蔵の人生が崩壊に向かっていく過程」
だと言えるでしょう。
とくに、
クラスメイトに自分が道化であることを見破られたシーンは
何度読んでも胸が痛くなります。
誰しもが葉蔵のように弱い部分があるはずです。
その部分とどう向き合っていくかを
この作品は問いかけているのではないのでしょうか。
人間として失格しているのか否かについては、
あくまでも葉蔵による主観です。
共感する自分自身がどう感じるか、
葉蔵の生き方や読み手の人生について
深く考えさせられる作品なのです。
写真素材:足成
人間失格を読んでの感想
「人間失格」は
太宰治が自分自身をモデルにして書いた小説といわれています。
たしかに何度も自殺を繰り返したり、
心中相手ばかりが死んでしまうところは
現実の太宰治にも実際にあったことでした。
また、この小説は
太宰が自分自身のために書いたというだけあって、
この小説を執筆した同年自ら命を絶っています。
以上のことを踏まえながら読んでみると、
太宰治がどんな思いで生きてきたか、
人生の凄まじさを感じました。
魂を振り絞り、自分の命を削りながら書いたのかと思うと、
ますますこの小説の鬱度が上がったようにさえ思えます。
読了後は名作と言われるものを作る人は、
やはり普通の人格や精神状態ではないのだろうな
とも感じました(´・ω・`)
正直、めちゃくちゃ気分が滅入るので、
多少は覚悟して読んだほうがいいかもしれません。
太宰治のほかの作品紹介
「津軽」
太宰文学のうちには、
旧家に生れた者の暗い宿命がある。古沼のような“家”からどうして脱出するか。
さらに自分自身からいかにして逃亡するか。しかしこうした運命を凝視し
懐かしく回想するような刹那が、一度彼に訪れた。それは昭和19年、
津軽風土記の執筆を依頼され
3週間にわたって津軽を旅行したときで、
こうして生れた本書は、
全作品のなかで特異な位置を占める佳品となった
本作は太宰治の故郷、青森県を舞台にした小説です。
「人間失格」とは違い、感動あり、笑いありと
とても読みやすい本です。
「人間失格」を読まれる前にこちらを読むと、
太宰治のイメージががらっと変わること間違いなしです(´∀`)
ちなみに、わたしが一番好きな太宰治の本でもあります。
まとめ
いかがでしたか?
太宰治の小説の中で
ひときわ暗くて味わい深い一冊である「人間失格」。
なかなか手を伸ばしにくい本ですが、
生きるためのヒントや、教訓がぎっしりつまった本です。
この記事をきっかけに「人間失格」を手にとってもらえれば
とてもうれしく思います。